遠州灘のしらすは、なぜこんなにうまいのか

遠州灘のしらすは、なぜこんなにうまいのか。舞阪漁港が教えてくれた「白い宝」の正体

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遠州灘のしらすは、なぜこんなにうまいのか

「しらすって、どこでとれるか知ってますか?」

週末にスーパーでしらすを手に取りながら、ふと思ったんです。
パックには「静岡県産」とある。
でも、どこの海から来て、どんなふうに水揚げされているんだろう、って。

浜松に住んでいながら、ちゃんと知らなかったんですよね。

気になって調べてみたら、答えはすぐ近くにありました。
舞阪漁港がある遠州灘が、じつは日本有数のしらす漁場のひとつなんです。

この記事では、「遠州灘のしらすがなぜこんなにうまいのか」

その理由を漁業文化から食べ方まで、がっつり深掘りしていきます。
読み終わったころには、きっとしらす丼を食べに行きたくなっていますよ。


しらすって、そもそも何者?
「白い稚魚」の正体

まずは基本から整理しておきましょう。
しらすとは、マイワシやカタクチイワシなどの稚魚(全長35mm以下)のことです。
加熱すると白くなることから「白子(しらす)」と呼ばれてきました。

遠州灘(浜名漁協の漁場)で水揚げされるしらすは、実に約98%がカタクチイワシの稚魚なんです。ほぼ一種類の魚が、あの透き通った「しらす」をつくっているんですね。

なぜ遠州灘がしらすの宝庫なのか

天竜川と遠州灘がはぐくむしらす

じつは、地形と水が大きな鍵を握っています。

浜名湖や天竜川からの淡水が遠州灘に流れ込み、植物プランクトンをぐんぐん育てます。それを餌にした動物プランクトンが増えて、しらすが自然と集まってくる・・・という食物連鎖が、この海を豊かにしているんです。

浜松という街が生み出す”自然のだし”が、しらすをおいしく育てているともいえますね。


舞阪の漁師たちが守る「速さ」という哲学

夜明け前から始まる、しらす漁の一日

遠州灘のしらす漁は船曳網(2艘曳き)が主力です。
2艘の船が網を引いて、しらすをまとめて漁獲します。

漁師さんたちは朝に出漁して、昼頃に舞阪漁港へ戻ってきます。
港に着いた瞬間から競りが始まって、加工業者の手に渡り、洗浄→釜茹で→冷却→箱詰めまで・・・この一連の流れが、その日のうちに完結するんです。

「水揚げした日に食卓へ届ける」。
それが舞阪しらすの哲学といっていいと思います。

漁期と旬のカレンダー

しらすの漁期は3月下旬〜翌1月と長めですが、旬には山があります。

時期状態おすすめ度
3月下旬漁解禁・走り
4〜6月春の最盛期
7〜8月夏(水温上昇期)
9〜10月秋の最盛期
11〜1月閑散期・ちりめん向き

旬のピークは春と秋の2回あります。
静岡県の主要6港の統計データによると、5月の水揚量の中央値は約922トンと群を抜いて多いんですよ。

春の訪れとともに、遠州灘がいちばん賑わう季節がやってきます。

一方で、近年は海況の変動が激しく、2024漁期は過去最低水準に近い年もありました。
「食べられるときに、ちゃんと味わう」
しらすとはそんなふうに付き合っていきたいですよね。

加工形態で変わる「しらすの顔」

遠州灘の生しらす
遠州灘の釜揚げしらす
遠州灘のしらす干し
遠州灘のちりめんじゃこ

同じしらすでも、加工の度合いによってまるで別の食べ物になります。

形態特徴向く食べ方
生しらす透明感・かすかな苦み・はかない甘さ生しらす丼・軍艦巻き
釜揚げしらすふわふわの食感・やさしい旨みしらす丼・卵焼き・トースト
しらす干し(微乾燥)旨みが凝縮・使い勝手◎パスタ・炒飯・和え物
上干ちりめんさらに旨みが深く・塩気あり酢の物・お茶漬け・常備菜

乾燥が進むほど、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質が濃縮されていきます。
しらすは「丸ごと食べる魚」なので、栄養の吸収率がとても高い食材でもあるんですよね。


「生しらす」に会いに行くなら、この季節に

生しらすは足がとても速い食材です。
漁のあった当日だけ食べられる、まさに”一期一会”といえます。

透き通ったガラス色の身、口に入れた瞬間に広がる海の香りと、ほんのりとした苦み。
釜揚げとはまったく別次元の体験が待っています。

狙い目の時間帯は、漁から戻る昼頃以降です。
舞阪漁港周辺の食堂や直売店を事前にチェックしてから出かけるのがおすすめですよ。春〜初夏(4〜6月)の晴れた日が、最高のタイミングになります。

しらすがおいしい、本当の理由

遠州灘のしらす

調べれば調べるほど、遠州灘のしらすには「地域の必然」があることがわかってきます。

天竜川と浜名湖がつくるプランクトンの豊かさ。
130隻が守り続ける「速さ」という文化。
水揚げからその日のうちに食卓へ届く、奇跡みたいな鮮度。

こんなに豊かな海の文化がすぐ近くにあるんですよね。
次の休日、しらすを食べにいくだけで、ちょっとした”旅”になりそうな気がしませんか。

春(4〜6月)か秋(9〜10月)、天気のいい昼下がりに。
舞阪漁港でしらすを食べながら、遠州灘の風を感じてみてください。


よくある質問(FAQ)

A. 春(4〜6月)と秋(9〜10月)の2回、最盛期があります。
特に5月は水揚量が年間で最も多くなる傾向があって、品質・価格ともに安定しやすいですよ。

A. 生しらすは漁の当日しか食べられない透明な稚魚で、海の香りとほのかな苦みが特徴です。
釜揚げは茹でることで白くなり、ふわふわした食感と甘みが出てきます。
どちらも「旬の時期に現地で食べる」のが最大の贅沢だと思いますよ。

A. 浜松市中央区舞阪町にあります。
浜松駅から車で約30〜35分(国道1号経由)、または遠鉄バスで舞阪駅下車後すぐです。漁港周辺に飲食店・直売店がまとまっているので、まわりやすいですよ。

A. 釜揚げしらすは冷蔵で3〜5日、冷凍で約1ヶ月が目安です(商品の表示が優先されます)。
お土産には、常温でも日持ちするしらす干し・ちりめんがおすすめですよ。

A. あります。
天候・海況・資源管理のために出漁しない日があるんですよね。特に生しらすを狙っていくなら、事前に現地の飲食店や直売店に問い合わせてから行くのが確実です。

A. 舞阪の釜揚げしらすは通販でも購入できます(200g/840円前後が目安)。
ただ、鮮度が命の食材なので、やっぱり現地で食べる体験にはかなわないですよ。

グルメ:舞阪・弁天島エリア

魚あら

創業110年超・浜名湖を眺めながら食べる地魚の殿堂

漁師町・舞阪に根ざして100年以上の老舗です。2階席から浜名湖を望みながら、しらす・うなぎ・地魚料理が楽しめます。地元民が特別な日に選ぶ一軒ですよ。

営業:11:00〜14:00 / 16:30〜20:00
Tel:053-592-0041
📍 浜松市中央区舞阪町舞阪2119-12

浜菜坊

弁天エリアの知る人ぞ知る名店

弁天島エリアの海鮮割烹です。生しらす丼・浜名湖の牡蠣・カサゴの天ぷらなど、その日の漁次第で変わる品書きが魅力なんです。地産地消を真剣に実践しているお店で、行くたびに発見があります。

営業:11:30〜14:00 / 17:00〜20:30(火曜定休)
Tel:053-592-1676
📍 浜松市中央区舞阪町弁天島3101

舞阪マルマ幸福丸

しらすも牡蠣もがっつりいける、気軽な海の幸スポット

浜名湖の牡蠣が主役ですが、生しらす・釜揚げしらすも充実しています。昼のみ営業(土曜は夜まで)で、ふらっと立ち寄れるカジュアルさが気軽でいいんですよね。

営業:10:00〜16:00(土のみ〜21:00)水・木定休
Tel:053-592-2340
📍 浜松市中央区舞阪町舞阪2621-114

丸半堀江商店 直販店

お土産ならここ一択・しらす干しの種類の多さに驚きます

舞阪のしらす干し・ちりめん・浜名湖海苔を専門に扱う直販店です。種類の豊富さは圧巻で、正直どれを選ぶか迷いますよ。国道1号沿いなのでアクセスも良好です。

営業:9:00〜18:00
Tel:053-592-0056
📍 浜松市中央区舞阪町舞阪337-1

フォトスポット・観光:弁天島エリア

弁天島海浜公園

夕焼けと湖と鳥居が三位一体になる、奇跡みたいな場所

浜名湖と遠州灘が交わる弁天島の砂浜公園です。
特に夕暮れ時は、空と水面が橙色に染まって本当に息をのむ美しさ。しらすを食べた後の散歩コースとして最高ですよ。

📍 浜松市中央区舞阪町弁天島3775

弁天島観光シンボルタワー(赤鳥居)

冬至だけに「鳥居に沈む夕日」が撮れる、超レアなスポット

湖に立つ高さ18mの鳥居型モニュメントです。
冬至の前後1ヶ月だけ、鳥居の真ん中に夕日が沈む絶景が出現して、カメラマンが集まってきます。地元民でも知らない人が多い穴場ですよ。

📍 浜松市中央区舞阪町弁天島

舞阪漁

漁師町の朝の空気を吸いに行く、リアルな漁業の現場

早朝に行くと、しらす漁から戻った船と競りの光景に出合えます。
観光施設じゃなく”生きた漁港”だからこそのリアリティがあって、なんか刺さるんですよね。朝市(えんばい朝市)の日は特に賑わいます。

📍 浜松市中央区舞阪町舞阪2119-38(24時間・見学自由)

浜名湖体験学習施設ウォッ

しらすの”中身”を知ってから食べると、10倍おいしくなります

浜名湖・遠州灘の生き物を展示する水族館です。
しらすの食物連鎖や生態を学べるので、食べる前に寄っておくと面白さが全然違います。

大人400円・高校生以下無料。
営業:火〜日 9:00〜16:30(月曜定休:祝日は営業)
Tel:053-592-2880
📍 浜松市中央区舞阪町弁天島5005-3