観光ガイドの「定番」だけじゃ、もったいない
浜松の春、何を食べていますか?
うなぎ、餃子。もちろん、それは最高です。
でも——
観光ガイドに載っている定番グルメだけでは、浜松の春の “本当の美味しさ” には、なかなかたどり着けないんです。
春の浜松には、この時期にしか出会えない「旬の食材」がたくさんあります。
海から、畑から、湖から。
地元の人が「今が一番」と知っていて、こっそり楽しんでいる味たち。
この記事では、地元だからこそ知っている 「春に食べてほしい浜松の食材」を7つ 、厳選してご紹介します。
ひとつだけ先に言っておくと——7つめは、ちょっと特別な一品です。
✅ この記事でわかること
- 浜松の春に旬を迎える食材7つ —— 海・畑・湖、それぞれの恵み
- それぞれの旬の時期 —— 5月下旬の「今」食べられるのはどれか
- モチガツオ・初ガツオ・生しらす —— 地元でしか成立しない”鮮度”の話
- 三方原馬鈴薯 —— 浜松ならではのブランド食材
- 浜名湖のアサリ —— 今「食べられない」理由と、その背景
浜松の春は、なぜ”旬”が豊かなのか
旬とは、その食材が一年でいちばん美味しく、いちばん多く獲れる・収穫できる時期のことです。
浜松が春の旬の宝庫なのには、ちゃんと理由があります。
全国有数の漁場 遠州灘 、赤土が広がる 三方原台地 の畑、そして汽水湖の 浜名湖 。
海・畑・湖の3つの恵みが、ぜんぶ手の届く距離にそろっているんですね。
まずは7品目を、一覧で見比べてみましょう。
| 食材 | 旬の時期 | 恵み | 食べ方の定番 |
|---|---|---|---|
| モチガツオ | 4月中旬〜7月初旬 | 海 | 刺身(にんにく醤油) |
| 生しらす | 春・4〜6月 | 海 | 生しらす丼・そのまま |
| 初ガツオ | 4〜5月 | 海 | 刺身・タタキ |
| サワラ | 春(地域差あり) | 海 | 西京焼き・刺身 |
| 新玉ねぎ | 3〜5月 | 畑 | スライスで生 |
| 三方原馬鈴薯(新じゃが) | 5月下旬〜8月 | 畑 | 皮ごと蒸す・焼く |
| 浜名湖のアサリ | 本来は春 | 湖 | —— |
※旬の時期は年や天候によって前後します。
1. モチガツオ —— もちもち食感は”鮮度の証”
モチガツオとは、釣り上げから4〜5時間以内、死後硬直が始まる前の、極めて鮮度の高いカツオのことです。
特別な品種ではありません。
遠州灘で揚がった本かつおのうち、ごく一部だけが、つきたてのお餅のような “もちもち食感” をまとうんです。
この食感は、時間が経つとすぐに失われてしまいます。
水揚げの日の、晩ごはんどきくらいまで。それがタイムリミット。
つまり、 産地でしか成立しない味 。
流通に乗せて遠くへ運ぶ、ということができないんですね。
食べ方は、やっぱり刺身。
地元では、スライスにんにくやおろしにんにくを醤油にといて、豪快にいただくのが定番です。
一口食べれば、「カツオってこんな食感だったっけ?」と驚くはずですよ。
旬:4月中旬〜7月初旬。
2. 生しらす —— “さっきまで海にいた”鮮度

生しらすとは、釜ゆでをしていない、水揚げ当日にしか味わえないカタクチイワシの稚魚のことです。
遠州灘は、しらす(カタクチイワシの稚魚)の宝庫。全国有数の漁場で、なかでも 舞阪漁港 は古くからしらす漁で知られています。
春(4〜6月)は、最盛期のひとつ。
特に 5月は、年間で水揚げが最も多くなる 傾向があるんです。まさに今。
透き通った見た目、海の香り、そしてほのかな苦み。
一口食べれば、釜揚げしらすとの違いは明らかです。
ただし——天候次第で、漁に出られない日もあります。
だからこそ、出会えたときの価値は格別なんですよね。
遠州灘のしらすについては、こちらの記事でじっくり深掘りしています。
遠州灘のしらすは、なぜこんなにうまいのか。舞阪漁港が教えてくれた「白い宝」の正体
3. 初ガツオ —— 脂じゃなく、”香り”を楽しむ

初ガツオとは、春に黒潮に乗って北上していく”上りガツオ”のことです。
秋の「戻りガツオ」が、夏にたっぷり栄養を蓄えた濃厚な脂派なら、初ガツオはその逆。
赤身が多く、脂は控えめで、 さっぱりと爽やか 。
そのぶん、 香りと旨み が際立ちます。
じつは、さきほどのモチガツオも、この初ガツオの一種。
初ガツオのうち、特に鮮度が極まったものが「モチガツオ」と呼ばれるんですね。
浜松には刺身でカツオを楽しむ文化があります。
表面をサッと炙ってタタキにすると、春らしい爽やかな香りが、いっそう引き立ちますよ。
旬:4〜5月。 5月下旬の今は終盤戦。今月のうちに、ぜひ。
4. サワラ —— “魚へんに春”と書く魚

サワラは、漢字で「鰆」。魚へんに春と書くとおり、春を代表する魚として知られています。
ただ、ここは正直にお伝えします。
遠州灘でのサワラ漁は、じつは秋から冬がメイン。御前崎の「遠州の鈎(かぎ)鰆」のように、脂がのった冬の “寒鰆” も人気なんです。
春のサワラは、クセが少なく、やさしい旨み。
西京焼きのイメージが強い魚ですが、鮮度のいいものは刺身でも楽しめます。
名前のとおりの “春の魚” を、この季節に味わってみる。
そんな楽しみ方も、なかなか乙なものですよ。
5. 新玉ねぎ —— “そのまま食べられる”甘さ

新玉ねぎとは、収穫後に乾燥させず、早採りして出荷される春限定の玉ねぎのことです。
水分が多く、辛みや臭みが少ないのが特徴。
スライスして生のまま食べても、驚くほど甘くて、みずみずしいんです。
じつは静岡県は、新玉ねぎの一大産地。
全国の新玉ねぎ産地のなかでも、トップクラスの早さと量を誇ります。
日持ちは1〜2週間と短め。
だからこそ、 春のうちに 、素材そのものの甘さを味わいたい野菜です。
旬:3〜5月。
6. 三方原馬鈴薯(新じゃが)—— 浜松が誇るブランドポテト

三方原馬鈴薯とは、浜松の三方原台地と湖西の白須賀台地の赤土で育つ、ブランドじゃがいものことです。
「新じゃが」とひとくちに言っても、浜松にはこの名品があるんです。
赤土がはぐくむ、なめらかな肌。
そして、ホクホクの食感。デンプン量の指標「ライマン値」が高く、 甘みとほくほく感 に定評があります。
出回るのは、 5月下旬から 。つまり、ちょうど今が出はじめ。
新じゃがは皮が薄いので、皮ごとどうぞ。
蒸すだけ、焼くだけ。シンプルな調理ほど、甘みと香りがしっかり感じられます。
手をかけないほど美味しい——そんな、ぜいたくな食材です。
7. 浜名湖のアサリ —— 今は味わえない、”待ちたい”春の味

最後の一品は、ちょっと特別です。
浜名湖のアサリは、本来、春が旬の名物でした。
潮干狩りは、長く浜名湖観光の “目玉” だったんです。
でも——いま、浜名湖でアサリは獲れません。
漁獲量は、2009年の約6,000トンから減り続け、 2025年にはついにゼロ に。
観光潮干狩りは 8年連続で中止 、2026年3月からは、漁業者以外のアサリ漁も全面的に禁止されました。
原因は、温暖化で湖に居つくようになったクロダイの食害や、湖の栄養不足によるエサ不足だと言われています。
いま、浜名漁協はアマモの再生や、砂を入れた増殖場づくりを進めていて、5年ほどの禁漁で資源の回復を目指しています。
だから、この一品は「食べてほしい」ではなく、 「知っておいてほしい」春の味 。
浜名湖のアサリが、また食卓に帰ってくる日を。
地元のひとりとして、一緒に待ちたいですよね。
よくある質問(FAQ)
Q1. 5月下旬の浜松で、今いちばん旬の食材は?
A. モチガツオと生しらす です。モチガツオは4月中旬〜7月初旬が旬、生しらすは5月が年間で最も水揚げの多い時期。さらに 三方原馬鈴薯 も、ちょうど5月下旬から出はじめます。
Q2. モチガツオと初ガツオは何が違うの?
A. 初ガツオは、春に北上する “上りガツオ” そのものを指します。モチガツオはそのうち、 釣り上げから4〜5時間以内 の極めて鮮度の高いものだけのこと。モチガツオは「初ガツオの最高鮮度バージョン」と考えると分かりやすいです。
Q3. 生しらすはいつでも食べられますか?
A. 生しらすは 漁の当日しか 味わえません。さらに天候次第で漁に出られない日もあるため、「食べられたらラッキー」な一品。春(4〜6月)と秋が最盛期です。
Q4. 浜松でアサリの潮干狩りはできますか?
A. 2026年現在、できません。浜名湖のアサリは資源が激減し、観光潮干狩りは 8年連続で中止 。2026年3月からは、漁業者以外のアサリ漁も全面的に禁止されています。
Q5. 三方原馬鈴薯(新じゃが)はいつ買えますか?
A. 5月下旬から8月ごろ にかけて出回ります。新じゃがとして出はじめるのが5月下旬〜6月。旬は短いので、見かけたら早めにどうぞ。
Q6. 初ガツオと戻りガツオ、春に食べるのはどっち?
A. 春(4〜5月)に旬を迎えるのは 初ガツオ です。北上中のため脂は控えめで、さっぱり爽やか。秋(8〜9月)に南下するのが戻りガツオで、こちらは脂が多く濃厚な味わいです。
まとめ・キーポイント
- 浜松の春は、海・畑・湖の旬が勢ぞろい —— 7つの食材それぞれに「今」がある
- 5月下旬の今が旬 —— モチガツオ、生しらす、三方原馬鈴薯(出はじめ)
- 今月のうちに —— 初ガツオ、新玉ねぎは終盤戦
- 鮮度が命の味 —— モチガツオ・生しらすは「産地でしか成立しない」
- 浜名湖のアサリは禁漁中 —— 食べる味ではなく、知って待ちたい味
浜松を訪れるなら
浜松の春は、観光だけじゃもったいない。
ぜひ、 “旬を食べる旅” として楽しんでみてください。
ここでしか、今しか味わえない食体験が、きっと忘れられない思い出になるはずです。
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