【工場見学】明治時代へタイムスリップ!140年続く醤油醸造所見学
毎日の食生活に欠かせないもの、調味料。
日本人ならやはり醤油ですね。
でも、その醤油がどのように作られているのか皆さんご存知ですか?
日常何気なく使っている醤油の製造工場へ外国人を連れて見学に行ってきました。
我が家にホームスティで受け入れている外国人の皆さんは、日本の食文化にとても興味を持たれています。
日本人の私にも驚きがいっぱいの醤油工場見学の様子をご紹介します。
この記事の見出し
はじめに5種類の醤油のご紹介
日本農林規格(JAS)によると、醤油は濃口(こいくち)、淡口(うすくち)、再仕込(さいしこみ)、たまり、白に分けられます。
料理に合わせた醤油選びはひと手間ですが、醤油の特徴を生かすと、味がぐ~んとアップ!
料理を作るのが楽しくなりますね。
濃口醤油 (こいくち) |
全体の生産量の80から90%を占めていると言われている。 どんなお料理にも使える万能醤油。 |
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【用途】煮物、炒め物、ドレッシング、たれなどオールマイティ | |
淡口醤油 (うすくち) |
見た目の色が淡いだけで塩分量は濃い口より高いので注意が必要。 減塩したい方には不向き。 素材そのものの色や風味を生かしたいときに使用。 |
【用途】お吸い物や炊き込みご飯などに最適 | |
再仕込 (さいしこみ) |
本来なら麹に食塩を合わせるところ、醤油を合わせて作る。 味が濃くドロリとした仕上がり。 |
【用途】煮物や料理の隠し味などに使用するとうま味アップ。 刺身や冷奴にもよく絡みおすすめ |
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たまり醤油 | 長期間熟成するため見た目も濃くうま味成分が多く、つけ醤油に最適。 加熱すると赤身がかったきれいな色に変化する。 |
【用途】刺身や寿司、照り焼きなどにも最適 | |
白醤油 | 淡口醤油よりもさらに淡い色をした醤油。 素材の良さを活かす高級料理などに使われる。 大豆ではなく小麦粉を主原料。 発酵をおさえるため熟成期間は少な目。 |
【用途】茶碗蒸しやうどんの汁など |
明治屋醤油のこだわり
明治屋醤油は明治8年創業から始まり140年余り。
その木造の醸造所は歴史が深く、国の有形文化財にも登録されています。
まるで昔の日本へタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気があります。
明治屋醤油の醸造所内は、夏は非常に暑く、冬は非常に寒いそうです。
大手メーカーさんとは違い、四季の温度変化を利用しながらの伝統的な醤油製造にこだわっているそうです。
大量生産された醤油とは一味も二味も違う本格的な醤油をぜひ皆さんにも味わって、体験してほしいと思います。
見学前に、醤油造りの工程をおさらい
醤油を手に取って、原材料に何が使われているか見たことはありますか?
醤油の基本原料は、大豆・小麦・食塩の3つです。
大手メーカーさんとは違う、昔から変わらない伝統的な方法での醤油の作り方を説明します。
伝統的な醤油の作り方
- まず水につけてふやかした大豆を圧力釜で蒸し、小麦を炒って砕く。
- 麹造り
- [1]の大豆・小麦に[2]の麹と、約22%の塩分濃度の食塩水を入れて混ぜ、もろみを作る。
- 1年半から3年間、発酵・熟成させる。
- もろみを搾る。(約1000リットルのもろみから約800リットルの醤油が絞れます。)
- 加熱処理
- 検査
- 瓶詰めをして完成
ここまで最短でも570日もかかります。
大豆300キロ、小麦300キロ、塩水1080リットルで約1100リットルの醤油ができあがります。
創業から変わらない伝統製法を見学
醤油がどのように作られているかご存知の方は少ないと思います。
わたしも、見学をさせてもらうまでは全く知りませんでした。
工場へ入ると、古き良き時代へタイムスリップしたかのような空間です。
工場内の醤油製造見学
工場見学は、6代目代表野末将平さんに工場内を案内していただきました。
▲こちらの機械は麦を炒る機械です。
上から落とされた麦が170度で40秒ほど、均一にきつね色になるまでバーナーで炒られます。
その後、炒られた麦は細かく砕かれます。
さらに圧力釜で蒸された大豆と、麹菌と混ぜ合わせることで「しょうゆ麹」ができ上がります。
▲こちらは食塩水を貯める桶で、塩分濃度は22%です。
こちらの食塩水とさきほどの「しょうゆ麹」を合わせて仕込みます。
▲発酵・熟成させて醤油を造ります。
明治屋醤油さんでは、四季の温度変化にゆだねるような方法をとっているので1年半から3年間、発酵・熟成させます。
ちなみに大手メーカーさんは人工的に温度調節をするのでこの工程は半年で済みます。
店内でさらに醤油について学ぶ
一通り醤油造りの工程を知ってから、次はお店の方へ案内されました。
そこでさらに説明がありました。
3種類のもろみ
「もろみ」:左から2週間、5カ月、2年発酵・熟成されたもの
お伺いしたのが6月下旬。
左の仕込んだもろみは約2週間が経過しています。
匂いは大豆そのものです。
真ん中のもろみは約5カ月モノ。
まだ大豆の粒は残っていますが匂いは2週間のものとは明らかに違いました。
ドイツ人は「イースト菌のような匂い」と表現していました。
右側は約2年が経過したもろみ。
見た目も匂いも左2つと完全に違っていました。
味噌よりもドロドロですが、匂いはちょっと味噌のような?独特ですがいい匂いです。
もろみから搾りたて醤油ができる!
熟成したもろみから新鮮な醤油を搾ります。
もろみをろ過すると醤油がぽたぽたと下に落ちてきます。
3種の醤油の味比べ
3種類の醤油と豆腐を用意されました。
醤油を冷ややっこにかけ、食べ比べさせてもらいます。
[左]:ろ過した搾りたて醤油、[真ん中]:たまり醤油、[右]:再仕込み醤油
左の搾りたて醤油は、豆のフレッシュな感じであっさりさっぱりとしていました。
真ん中のたまり醤油は、うまみ成分が強かったです。
一緒に行ったメキシコ人は「この醤油がそんなに塩っぽく感じないのは、魚の塩気とマッチさせるためか?」と日本人の私でさえ思いつかないような質問をしていました。
そして右側は「ストロング。強すぎるからあんまり好みでない」と言っていました。
でもわたしは、ザ・醤油という感じがして再仕込み醤油が一番好みでした。
右の醤油は3種の中で一番塩分濃度が強いのか野末さんにお伺いしました。
左16.5、真ん中16.5、右15と右側の「再仕込み醤油」の方が一番塩分濃度が低いと聞き驚きました。
色も味も右側の醤油の方が明らかに濃い。
しかし塩分濃度は低い。
醤油も奥が深いなぁと思いました。
工場見学がしたくなったら?申し込み方法と注意
工場見学は完全予約制で、電話で申し込みが必要です。
見学希望日の約一カ月前を目安にお申し込みください。
見学時間は午前か午後があります。
そして醤油造りに欠かせない麹菌を守るため、「当日の朝は納豆を食べないでください。」だそうです!
醤油搾り体験や味噌造り体験も希望できる
私は今回希望しませんでしたが、希望者には醤油搾り体験や味噌造り体験もあるようです。
幼児は保護者同伴にて醤油搾り、味噌造り体験が可能です。
「明治屋醤油」詳細情報
駐車場はこちら。
軽であれば4台ほどは駐車可能です。
それ以上になる場合は他にも10台ほど停められるスペースがあるそうです。
予約時にご確認ください。
住所 | 静岡県浜松市浜北区小松2276 |
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電話 | 053-586-2053 |
営業時間 | 平日 10:00~18:00 土曜 10:00~16:30 |
定休日 | 日曜・祝日 |
駐車場 | 無料駐車場あり |
アクセス | 電車 遠鉄電車「遠州小松駅」出口より徒歩約12分 車 東名「浜松浜北I.C」より約12分/「浜松I.C」から約15分 |
HP | http://meijiyashouyu.com/ |
対象 | 定員 | 料金 | |
工場見学 | 制限なし | ~35名まで | お一人様無料 |
醤油搾り 体験 |
小学一年生以上 | ~10名まで | お一人様1000円(税抜) ※自分で絞った醤油1本お土産付き |
味噌造り 体験 |
小学一年生以上 | ~6名まで | お一人様1440円(税抜) ※自分で造った味噌1キロお土産付き |
外国人のおもてなしにもおススメな「醤油工場見学」
売店ではさまざまな醤油やソースを販売。営業時間内ならいつでも購入が可能。
我が家にホームスティ家に来た外国人は日本に興味がある人ばかりです。
「醤油工場の見学に行きたい?」と聞くと「行ってみたい!」と、今までドイツ人、イタリア人、メキシコ人を連れて行きました。
ちなみに全員女性で、母国でも寿司を食べるときなどに醤油を使うと話していました。
醤油は英語でSoy sauceだから、醤油が大豆から作られているのは知っている外国人。
どの国の人もみんな、醤油がどうやって作られているかは全く想像もつかない、という状態でした。
白っぽい大豆がどうして黒い醤油になるのか、どういう工程で造られるのか、非常に興味があるようでした。
明治屋醤油6代目の野末さんによると、最近は明治屋醤油へもインターネットや外国人向け情報サイトで知ったという外国人が興味を持って来てくれることが増えたそう。
今までに、成田からレンタカーで来た、ヒッチハイクで来たという外国人もいたそうです。
外国人も日本の伝統的な醤油造りに興味があるのでしょうね。
もしも外国人をおもてなしする機会があれば明治屋醤油さん、絶対におススメです。
英語のパンフレットも用意されているのでご安心ください。
ちなみにわたしは日本で暮らしてみたい外国人を毎月一人ずつ、1カ月ほど受け入れています。
明治屋醤油さんでは毎月見学をさせていただいていますが、どの国の人にも日本でしかできない体験だと大変喜ばれています。
140年続く醤油醸造所見学に行って
今回見学をさせていただいて、日頃、何気なく使っていた醤油のことを詳しく知ることができ、私自身も勉強になりました。
工場見学は事前予約が必要です。
工場見学以外にも売店があります。
醤油やソースなどがあり、購入をしたい場合は営業時間内ならいつでも購入が可能です。
ぜひお気軽に明治屋醤油さんへ足を運んでみてくださいね。
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