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【JR飯田線編】地元で残したい風景「愛知県境周辺」 第5弾

 2020/05/20
学ぶ この記事は約 8 分で読めます。
地元に残したい風景:飯田線:熊野神社

「飯田線沿い 地元で残したい風景」第5弾をお送りします。

いよいよこのシリーズも最後になりました。
愛知県堺に近く、浦川駅を過ぎると山の中の路線を走るようになります。
所々に集落があり、駅が開業されています。

浜松市内の飯田線駅は14駅ありますが、今回は残りのふたつ「上市場駅」と「出馬駅」。
その他、不思議に気が惹かれた神社や、(これは愛知県ですが)珍しい滝を紹介します。

これまでの記事はこちら

 

「上市場駅」

飯田線:上市場駅

この駅はホームに待合所のみ、駅舎がない無人駅ですが、ここに住む方々の大事な足となっている駅です。

歴史をみると、1935年(昭和10年)に 出馬駅(いずんま)と浦川駅間を走る、三信鉄道の三信上市場停留場(さんしんかみいちばていりゅうじょう)として開業しました。
1943年(昭和18年)に三信鉄道線が飯田線の一部として国有化された時には廃止。
1946年(昭和21年)に上市場駅として再開業されました。

駅周辺は「さくま自然休養村」として‪一時‬期、観光開発が行われました。
2015年に浜松市によって、休養村(宿泊施設 清流荘など)の廃止が発表されました。

奥深い自然に囲まれた場所で、ゆっくり静養などが可能だったはずなので、休養村の廃止は残念ですね。

 

「熊野神社鳥居」

地元に残したい風景:飯田線:熊野神社鳥居

上市場駅前の細い道を西に歩くと、不思議な鳥居を発見しました。
普通ならば、鳥居の向こうに神社か鎮守の森が広がっているのに、細い道がつながっているだけ、背景に三角錐の山が見えるだけです。

その山全体が信仰の対象になっている鳥居かな、とも思いましたが、どうやら違うようです。
このような鳥居があれば、やはりその参道を辿ってみたくなるものです。

北上する参道を進むと、すぐ飯田線の線路
それを渡ると参道は右へ折れすぐ左へ。

参道というよりも生活道路になっているようです。
再び北上すると、人家の甍(いらか)の向こうに、社が見えてきました。
左へ曲がって、またすぐ右へ。そこに熊野神社がありました。

 

「佐久間町浦川 熊野神社」

地元に残したい風景:飯田線:熊野神社

急な階段の上には、昔の屋敷風の構成で、楼門にあたる建物(直会殿)が建っています。
上市場集落を見渡すように、直会殿の両脇には木造の随神が鎮座していました。
それをくぐると、神殿が現れました。

この熊野神社は創立年月日不詳なのだそうですが、1527年(大永7年)‪11月‬に再建されました。
1916年(大正5年)に諏訪神社を合祀。
1921年(大正10年)に村社に列したそうです。

配札は毎日神社宮司の自宅で授与されており、その御神影(おみえ)はえびす様と大国様になります。
*御神影(おみえ)とは神様のお姿を写したお札(画像札)のこと。

例祭は毎年7月最終土曜に行われ、小学生女子による浦安の舞などを奉納。
景品付き投げ餅、打ち上げ花火があり、典雅なお囃子を奏でながら山車屋台の引廻しなどが行われるということです。

「出馬駅(いずんまえき)」

地元に残したい風景:飯田線:出馬駅(いずんまえき)

飯田線は、全国路線の中でも、駅が多いことで知られています。
その中で、「出馬駅」と「上市場駅」の間は、600m という飯田線の中で最短駅間距離になっています。

線路がカーブし、途中堀割を通るため、600mという距離にもかかわらず、上市場駅を見ることはできないのです。
単式ホーム1面1線で駅舎はなく、直接ホームに入る形になっています。

1934年(昭和9年)に三信鉄道の三信三輪駅(現・東栄駅)が佐久間駅(現・中部天竜)まで伸びたときに開業しました。

ここも静かで、山々や樹々に囲まれた自然あふれる中にある無人駅です。
隣の駅が「東栄駅」で、愛知県に入ります。

 

「蔦の淵(つたのふち)の滝」

地元に残したい風景:飯田線:蔦の淵(つたのふち)の滝

蔦の淵の滝へのアクセス

浜松市内からちょっと外れ、浦川駅から車で10分ほど
隣町の東栄町になります。

佐久間町へ行くために、三遠南信道路を利用しました。
全面開通ではないため、引佐ICから蓬莱峡ICまで利用し、県道151号を走ります。

カーナビに従って走っていくと、T字の角に蔦の淵の看板を見つけました。

蔦の淵の滝について

大千瀬川にかかる、幅約70m、落差約10mの横に長い滝です。

「とうえい温泉」の裏にあるのは、この地域でも有名な景勝地で、「奥三河のナイアガラ」と名づけられているそうです。
対岸の町道沿いに駐車スペースと看板があります。

遊歩道や展望台があります

そこに車を止め、いざ「蔦の淵の滝」見学。

崖沿いに遊歩道があり、樹々の間から滝が垣間見えました。
さらに進んでいくと、鉄製の階段が現れ、降りていきます。
錆びた手すりを持って、割と急な階段を降りていきます。
一番下は河原に通じていて、最後から2段目が壊れていて、降りるのに注意が必要でした。

河原の水たまりの向こうは本流。
さらにその向こうに蔦の淵の滝が見えていました。

あまり見ない形状と大きさに、しばらく風に吹かれて見入っていました。
なかなかここまで来るのは、骨が折れますが、見る価値はあります。

もっと簡単に見たいのでしたら、「とうえい温泉」から展望することができます。

「蔦の淵」の言い伝え・案内板

この蔦の渕には竜神伝説があり、竜宮城へ繋がっているとの言い伝えもあります。

全文案内板より転記
ここ「蔦の淵」も滝頭(たきかしら)は柱状節理を示す堅い珪化安山岩(火成岩)であり、滝壺は柔らかい黒色泥岩である。
柔らかい泥岩は堅い珪化安山岩より早く風化・浸食されてけずりとられ。滝壺となった。
このような地形に差別のできる浸食を差別浸食という。

 

ご紹介の風景の詳細

上市場駅

無人駅 JR飯田線「上市場駅」の詳細情報

●無人駅
●単式ホーム1面1線

住所 ‪浜松市天竜区佐久間町浦川2541‬
隣接駅  出馬駅 – [上市場駅] – 浦川駅
駐車場 なし
アクセス 電車 JR「浜松駅」→「豊橋駅」飯田線に乗り換え 約2時間20分
浜松駅方面より国道152号線経由→新東名「浜松いなさJCT」から鳳来峡方面→国道151号 約1時間20分

 

熊野神社・鳥居

「上市場熊野神社」の詳細情報

7月下旬には、お囃子を奏でる屋台の引き回しがある佐久間町上市場熊野神社祭典が催されます。

住所 ‪浜松市天竜区佐久間町浦川2561
隣接駅  出馬駅 – [上市場駅] – 浦川駅
駐車場 なし
アクセス 電車 JR「浜松駅」→「豊橋駅」飯田線に乗り換え→「上市場駅」下車→徒歩約3分 約2時間30分
浜松駅方面より国道152号線経由→新東名「浜松いなさJCT」から鳳来峡方面→国道151号・県道1号経由 約1時間10分

 

出馬駅(いずんまえき)

JR飯田線「出馬駅」の詳細情報

●無人駅
●単式ホーム1面1線
●駅舎なし

住所 ‪‪浜松市天竜区佐久間町浦川1997‬
隣接駅 東栄駅 – [出馬駅] – 上市場駅
駐車場 なし
アクセス 電車 JR「浜松駅」→「豊橋駅」飯田線に乗り換え→「出馬駅」 約2時間15分
浜松駅方面より国道152号線経由→新東名「浜松いなさJCT」から鳳来峡方面→国道151号・県道1号経由 約1時間15分

 

蔦の淵(つたのふち)の滝

「蔦の淵の滝」の詳細情報

●大千瀬川にかかる、幅約70、落差約10mの大滝
●「奥三河のナイアガラ」とも呼ばれている
●温泉施設「とうえい温泉」敷地内から徒歩約1分
●遊歩道や展望台あり

住所 ‪‪愛知県北設楽郡東栄町大字下田花田
駐車場 あり
アクセス ●新東名「新城IC」→国道151号→国道473号
●三遠南信自動車道『鳳来峡IC』→国道151号→国道473号 約20分
バスJR飯田線「東栄駅」→バス東栄線「本郷」で乗り換え乗車「とうえい温泉前」下車

 

JR飯田線沿い巡りをして

JR飯田線 佐久間駅

飯田線沿いの地元で残したい風景も以上で終了です。

地元であっても飯田線に乗る機会が少なく、実はこんなにたくさんの駅があったのか、と改めて驚かされました。
その駅ひとつひとつに歴史があり、北遠にしかない行事や神事がひしめいていました。

次回はそんな行事や神事をめぐる「浜松民俗芸能編 地元で残したい風景」をお送りします。

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この記事を書いたひと

山下清生

山下清生

浜松工業高校デザイン科卒。
3年間印刷会社でデザイナーを経験したあと、ヤマハ発動機(株)勤務。
定年を迎えましたが、引き続き勤務中。

だから、昔から好きだった絵を描くことを再開しました。
(まだ5年くらいは働きますが・・・)
今、描きたいものが、たくさん目の前に現れています。
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<受賞歴>
2020年 2月 「浜松市芸術祭第67回市展」入選
2020年11月 「日本国際水彩画会秋季秀作ネット展2020」入選
2021年 4月 「第21回日本国際水彩画交流展」入選
2021年 6月 「第4回日美展・絵画部門」入選
2021年 9月 「第45回記念新日美展」佳作入賞
2021年11月 「JIWI秋季国際水彩画展2021」入選
2022年 1月 「浜松市芸術祭第69回市展」入選
2022年 6月 「第5回日美展 絵画部門」優秀賞
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◆絵だけでなく小説の執筆活動にも挑戦していました。

1996年(平成8年) 作品「こちら何でも相談室」創元推理短編賞 
2001年〜2005年頃 掛川市大須賀に在住のミステリー作家の「木谷恭介」に弟子入りして、木谷工房に参加
         「玉沖好也(たまおきよしや)」というペンネームで一部下書きとアイデア出し、表紙を担当させていただきました。
2012年(平成24年) 作品「二俣城備忘録」伊豆文学賞 
2020年(令和 2年) 作品「二俣城攻防録」ふじのくに芸術祭2020文学部門小説の部 奨励賞
2021年(令和 3年) 作品「潮流(万石事件)」ふじのくに芸術祭2021文学部門小説の部 入選