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【静岡県浜松市のまつり 秋冬編】夕方から深夜にかけて行われる祭事は迫力ある鬼や乱舞・火祭り

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:川合花の舞 山見鬼

浜松には全国でも珍しい形式の伝統文化がたくさん伝わっています。
しかも数百年の歴史を持っています。

今回は、浜松民族芸能編の第2弾です。
静岡無形民俗文化財に指定されている「川合花の舞」と「秋葉寺の大護摩供養」、それと国指定重要無形文化財に指定されている「寺野のひよんどり」をお送りします。

いずれの行事は、夕方から深夜にかけて行われ、‪翌早朝‬まで続く神事もあります。
全て数百年の時間を重ね、面々と受け継がれた神との交信を目の当たりにすることができました。

家康くん
「浜松民族芸能」を描きました。第1弾記事はこちら!

 

川合花の舞 その1:「山見鬼」

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:川合花の舞その1 山見鬼

下川合駅から車で3分ほど。
細い曲がりくねった道を登っていきます。

八坂神社に到着したのは、‪夜10時‬を回ったころでした。
周りには外灯もなく、神社の境内から、明かりと笛太鼓のしらべが響いています。

前回、『【飯田線沿い編】地元で残したい風景 第4弾』のなかで紹介させていただいた「八坂神社への階段」。
その階段を登った境内で、昨年‪10月26日(土)‬~27(日)に行われた川合花の舞を紹介します。

これは湯立て神楽であり、川合花の舞保存会によって奉納されています。
鎌倉時代末期に修験者たちによって伝えられたこの神事は、1976(昭和51)年には静岡県無形民俗文化財に指定されました。

旧暦冬至のころに東三河や南信濃で行われる花神楽・霜月祭・お潔め祭などと同じ系統の祭りだそうです。
かつては夜を徹して舞ったとされるが、今ではいくつかの舞を省略し、夕方から深夜にかけて行われています。

八坂神社拝殿前には4.5m四方の舞処(まいど)が柱で囲まれ、しめ縄が張られています。
その中央には湯立ての釜が据えられ、釜の真上にはキリコと呼ばれる華やかな色紙で飾られたユブタ(湯蓋)が下げられています。
舞手は舞処の中で舞い、その周りで笛・太鼓・鈴が奏され、唄がうたわれます。

 

川合花の舞の奉納演目

川合花の舞の奉納演目は、以下のように色々な舞があります。

  1. 地固めの舞
  2. 扇の二つ舞
  3. 八千代の二つ舞
  4. ボウズカの二つ舞
  5. 金山の二つ舞
  6. 扇の三つ舞
  7. 花の三つ舞
  8. 八千代の三つ舞
  9. 金山の三つ舞
  10. 山見鬼
  11. 扇の四つ舞
  12. 八千代の四つ舞
  13. ボウズカの四つ舞
  14. 花の四つ舞
  15. 金山の四つ舞
  16. 榊鬼
  17. おかめの舞
  18. 湯立の舞
  19. 湯上げ

 

演目の様子

私見ですが、川合花の舞のクライマックスは、「山見鬼」と「榊鬼」ですね。

「山見鬼」は金山の舞を舞った男たちが松明を持って、を舞処の中を誘導します。
鬼は真赤な衣装に大きな強面の鬼の面をつけて、手にはまさかりを持っています。

湯気が上がる釜の周りで、反閇(へんぱい)という邪気を静める足踏みを行います。
やがて「テーホヘ、テホヘ」というような掛け声がかかるようになると、囃子が変わります。
鬼はまさかりで舞処の上に吊り下げられたハチノス(蜂の巣)を叩き落し、乱舞するのです。

鬼のお面を被っていると、前が見えないので面の下から地面を見て、自分の位置を探ります。
鬼を誘導するために、たいまつを持った男たちが一緒に舞を踊ります。

乱舞が終わると、鬼装束の方は力尽きたようになりました。
抱えられて退場するのを見て、ギリギリのところまで踊る様に驚きました。

 

川合花の舞 その2:「榊鬼」

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:川合花の舞その2 榊鬼

「榊鬼」は榊の枝を持った鬼が登場し、反閇をしながら五方へ舞います。

やがて囃子が変化すると禰宜(ねぎ)が登場します。
これも厳つい天狗の面を被っています。

天狗と鬼の問答が始まり、問答には鬼が負けてしまいます。
負けた鬼がまさかりを振り上げて暴れだすと、2匹の共鬼(ともおに)もそれに従い釜の下の火を四方にかき散らし、鬼たちは舞処を暴れまわって退場していきます。

笛太鼓と唄は、舞が奉納される間ずっと続きます。
交代もありますが、太鼓はほぼ一人で叩いていました。

笛も男女問わず、交代で。唄はあちらこちらから聴こえてきます。
酔って唄いだす人もいれば、笛太鼓の横で唄っている人。
しかし、その時々の歌詞と音程はみな揃っていました。

深夜にもかかわらず、子供も多く女性もいます。
子供もいつか自分も踊りたいと思って観ているのでしょう。

境内の一角にお酒や五平餅も売られ、甘酒は無料でふるまわれていました。
境内は照明で明るく輝いていましたが、その舞や笛太鼓で厳粛な空気がずっと続いていました。

花の舞は毎年、‪午後3時‬~‪翌朝の‬午前3時までの予定で行われています。

 

秋葉寺(しゅうようじ)の大護摩供養

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:秋葉寺の大護摩供養

毎年‪12月15日から16日‬にかけて秋葉神社の「火祭り」が行われます。
同じ日に上社の下にある秋葉寺(しゅうようじ)では大護摩供養が行われています。

今回は秋葉寺の大護摩供養を紹介します。
秋葉神社上社から明かりのない杉の森の参道を20分ほど歩くと、秋葉寺に着きます。

 

秋葉寺の歴史

秋葉三尺坊大権現の総本山の秋葉寺は、709年(和銅2年)に行基が創建した曹洞宗のお寺になります。
秋葉寺は、明治の神仏分離で廃寺となってしまい、もともと寺のあった場所は秋葉神社になっています。

しかし信徒の強い要望によって、1880年(明治13年)に今の場所に再建されたそうです。

 

大護摩供養の様子

護摩木が四角い台のように四方に組み立てられます。
修験者のひとりが、護摩木の台の上に乗り大護摩を高くそれに掲げます。

この時の大護摩は、大きな薄い紙に紐を付けて頭の上に掲げています。
そのあと、護摩木に四方から火を付けます。

火は護摩木に次々と燃え移り、護摩木の台は火に包まれます。
でも、台に乗った修験者はそのままでいます。

大護摩を火の上昇気流に乗せて、放ちます。
大護摩は大きく跳ねを広げ昇っていきます。
紐をつけてあるので、それ以上は高く舞うことがありません。
火の勢いで、上空でゆらゆらと踊っています。

護摩木の台はますます燃え盛り、修験者の周りを包んでいきます。
四方から「まだまだ」の声がかかります。
「まだまだ」・・・その声に修験者も台から降りようとしません。

さすがは荒行の修験者と思いましたが、見ている方も怖いです。
いい加減のところで修験者も台から降り、護摩木の台は勢いよく燃え上がっていきます。
火の勢いが収まったところで、炭となった護摩木が広げられました。
その上を修験者達が通り、火渡りの神事に移行していきます。

修験者が通しすぎたあとで、一般参拝者が火渡りを行いました。
ここまですごいとは思わなかったです。修験者の荒行の姿を見ることができました。

 

寺野ひよんどりが行われる「直笛山宝蔵寺観音堂(通称:三日堂)」

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:直笛山宝蔵寺観音堂(通称・三日堂)

浜松市北区引佐町渋川に直笛山宝蔵寺(ほうぞうじ)観音堂(通称・三日堂)があります。

1555年(弘治元年)、信州松源寺に逃れていた亀の丞(後の井伊直親)が井伊谷に帰還する道筋で、寺野に逗留し「青葉の笛」を寄進したと伝えられているそうです。

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」でも登場した笛。
放送時は、各地で笛の臨時展示が行われました。

 

資料より

以下案内看板を流用し編集しました。

「山の名前の由来となった直笛山(ちょくてきざん)とは、直親公の「直」と、寄進した「笛」にちなんでつけられたと言われています。
祭りの起源は、元亀元年(1570年)頃とされ、寺野の祖である伊藤刑部祐雄(いとうぎょうぶすけかつ)が三河から戦乱をなげき、この地の山に入り開墾を行い、峰地より開いた記録が残っています」
(出典:案内看板より抜粋編集)

また他の資料では以下のように記されています。

「寺野地区の祖となる初代・伊藤刑部祐雄は、三河から5人の息子を寺野の村の各地に配属して芝切り(入植)をさせて以来の伝統行事といわれています。

寺野ひよんどりの起源は、観音堂に残る棟札や古文書、井の国歴史懇話会の研究などから戦国時代の1575年(天正3年)頃と推定されています。
つまりは1575年(天正3年)6月29日の長篠の戦いの直後に入植したと推測されます」
(出典:インターネット「浜松市文化財情報」より抜粋)

 

「寺野ひよんどり」について

静岡県浜松市のまつり 秋冬編:寺野ひよんどり

寺野ひよんどりは、毎年‪1月3日の14:00‬〜18:00に行なわれています。

「火踊り」がなまり、伝えられたのが、「ひよんどり」の名称の起こりといわれています。

国指定重要無形文化財にも指定され、400年近く前から伝承されています。
五穀豊穣や無病息災を祈る内容です。

 

資料より

「前段は神楽系の舞楽、後段は猿楽田楽系・田遊び系の演目によって構成されています。
寺野の神楽は採物を採って右に回りながら五法に舞い、正面に戻ると左に回転して右舞に戻す舞い方が基本になっています。これは伝統的な巫女舞の舞形で、この舞形を遵守しているのが特徴です」
(出典:インターネット「浜松市文化財情報」より抜粋)

 

「寺野ひよんどり」の様子

まず神下しにはじまり、御神楽と万歳楽・三ッ舞・片剣舞ともどきなど十三番の曲で進行し、舞は正面二回の五方に舞うことを基本とします。
もとは万歳・松影・田農などふくめて計二十番が徹宵して行なわれたといわれます。

神楽系の舞が多く、現在13番が残されています。
3匹の鬼が松明をたたき消す「鬼の舞」は、全国的にも珍しいとされています。
中世芸能史の資料として貴重なものでありますね。

 

「ひよんどり踊り」

三日月堂では、松明(たいまつ)を振りつつ「ひよんどり踊り」が披露されます。

闇の帳も降りた頃、3匹の鬼、赤鬼の「太郎」・青鬼の「次朗」・黒鬼の「三郎」が登場します。

たいまつを床に叩き火を消す舞は圧巻で、照明もない本堂に踊る炎と飛び散る火の粉。
踊る影が本堂の壁に映り、そこでも影が舞いを披露しているようでした。

見ている方の火事の心配をよそに、暴力的なほどに床にたいまつを叩きつけていました。
田楽系の芸能は、仮面を用いて、悪しきを祓って福徳を招く祝福芸となっています。

現在、寺野地域全世帯と寺野伝書鵜保存会と自治会と渋川小学校(「巫女の舞」や「三つ舞」は、昔から子供たちの舞いを担当)が力を合わせてひよんどりの伝承を守っています。
‪1月4日には浜松市北区引佐町川名地区で『川名ひよんどり』も行なわれます。‬

境内の隅に売店があり、そこでお酒や五平餅を売っていました。
北遠はどこでも五平餅が食べられます。
味噌の味は、土地土地で違うのでどこ行っても違う味が楽しめます。

 

ご紹介の祭り 詳細情報

佐久間町の八坂神社に伝わる湯立神楽:川合花の舞

川合花の舞

開催日 毎年10月最終土曜日
開催時間 15:00‬~‪翌日の‬3:00予定
会場 八坂神社
会場住所 浜松市天竜区佐久間町川合833-2-2‬
電話 天竜区観光協会佐久間支部
053-965-1651
見学料 無料
駐車場 臨時駐車場あり
アクセス 電車・徒歩 JR飯田線「下川合駅」→徒歩で約20分
●新東名「浜松浜北I.C」から約70分
●三遠南信「鳳来峡I.C」から約25分

 

秋葉寺の大護摩供養

秋葉寺の火まつり「大護摩供養」と「火渡り」

開催日 毎年12月15日、16日
開催時間 9:00~翌日0:00
会場 秋葉神社・秋葉寺
会場住所 浜松市天竜区春野町領家848‬
電話 秋葉山本宮秋葉神社電話:053-985-0111
秋葉山秋葉寺電話:053-985-0010
天竜区観光協会 春野支部:053-983-0001
見学料 無料
駐車場 無料駐車場あり
アクセス ●東名「浜松I.C」「浜松西I.C」から約60分
●新東名「浜松浜北I.C」から約60分

寺野ひよんどり

寺野ひよんどり

開催日 毎年1月3日
開催時間 14:00~18:00頃
会場 宝蔵寺観音堂
※通称寺野三日堂
会場住所 浜松市北区引佐町渋川877‬
電話 奥浜名湖観光協会電話
053-522-4720
見学料 無料
駐車場 なし
アクセス ●東名「浜松西I.C」から約45分
●新東名「浜松いなさJCT」から約10分

 

浜松民俗芸能【秋冬編】を描いて

‪今回は‬「川合花の舞」と「秋葉寺の大護摩供養」、「寺野のひよんどり」をお送りしました。
いづれも長い歴史と文化と信仰によって支えられてきた神事です。
そこの住民の方々と、熱い信仰者の情熱によって受け継がれてきました。

これらの行事は、昨年初めて観ることができました。
開催時間に合わせて車を走らせ、暗い道を歩いていきます。
普通の祀りと違い、会場までは静かで灯りもついていませんでした。

しかし会場に入ると一気に熱気が狭い空間に渦巻いているのでした。

2020年はコロナ禍で、色々な行事は中止になっています。
また見学できる日にぜひご覧ください。

 

次回は「静岡県浜松のまつり 冬編」
内容は「横尾歌舞伎」「西浦田楽」をお送りします。

 

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この記事を書いたひと

山下清生

山下清生

浜松工業高校デザイン科卒。
3年間印刷会社でデザイナーを経験したあと、ヤマハ発動機(株)勤務。
定年を迎えましたが、引き続き勤務中。

だから、昔から好きだった絵を描くことを再開しました。
(まだ5年くらいは働きますが・・・)
今、描きたいものが、たくさん目の前に現れています。
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<受賞歴>
2020年 2月 「浜松市芸術祭第67回市展」入選
2020年11月 「日本国際水彩画会秋季秀作ネット展2020」入選

◆絵だけでなく小説の執筆活動にも挑戦していました。

1996年(平成8年) 作品「こちら何でも相談室」創元推理短編賞 
2001年〜2005年頃  掛川市大須賀に在住のミステリー作家の「木谷恭介」に弟子入りして、木谷工房に参加
          「玉沖好也(たまおきよしや)」というペンネームで一部下書きとアイデア出し、表紙を担当させていただきました。
2012年(平成24年) 作品「二俣城備忘録」伊豆文学賞 
2020年(令和 2年) 「ふじのくに芸術祭2020の文学部門文芸コンクール」奨励賞